あ、それ知ってる!耳鼻科とかにいっても特にはっきりした異常がないやつね?
そうなのよ~。だからなんだかかわいそうで。こういうのも東洋医学で何か症状をやわらげたりできるかしら?
そうよね。もしかしたら石垣先生が知ってるかもしれないから聞いてみましょうよ!ちょっとラクになる方法でも教えてほしいわよね。
「のどに異物が詰まっているような感覚がある」
「いつもではないけど、時々のどに違和感を感じる」
「吐き出そうとしても痰が出ない」
実はこのような悩みを抱えている方は少なくないと思います。
実際当院では、2020年だけでも10名以上の方が上記の内容を訴え来院されました。
一方でご本人は少し気になっているだけだけど、長らく症状と付き合っているようなケースもあります。
今回はこの「のどのつまり感」について概要と、東洋医学の考え方と有効なツボによる対処法を紹介していきたいと思います。
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耳鼻咽喉科では咽喉頭異常感症/内科・精神科ではヒステリー球
のどのつまり感を感じるという経験は、実は多くの方が経験するとも言われています。
とはいえ、何か疾患があるかどうかをまずは明らかにすることが先決ですから、症状が気になる方は病院を受診してみましょう。何か※器質的な障害がなければ、耳鼻咽喉科では「咽喉頭異常感症」、内科・精神科では「ヒステリー球」と診断されるわけですが、いったいどのような原因でこの症状はあらわれるのでしょうか?
器質的とは、ある障害や病変の原因の原因が、身体のどこかが物質的,物理的に特定できる状態を意味します。
症状について
まず、のどの違和感は、耳鼻咽喉科において十分な検査をしても原因となる病気がなく、のどの異常感がある場合に、「咽喉頭異常感症」あるいは「咽喉頭神経症」と診断されます。
器質的な疾患がなく、のどの違和感として、球(たま)のような感覚であることで※ヒステリー球と呼ばれますが、実際に食事中や飲み物を飲んだりする時にはその感覚は軽減するようです。
一方で気にすれば気にするほど不快になってしまうのが特徴で、一時的な症状の方もみられるようですが、長くお付き合いされている方もいるようです。
尚、のどの違和感でお悩みになる方は中年以上の女性に多いと言われています。
ヒステリーとは、短気であったり、興奮して感情をコントロール出来なくなる様子のこと
咽頭(いんとう)と喉頭(こうとう)を合わせた「のど」全体を「咽喉頭」といいます。
ちなみに、喉頭は気管につながる部位を意味します。
考えられている原因
ストレスや不安、抑うつといった心理的な状態から誘発されると考えられているようです。
ストレスによる影響で、食道の筋肉を異常に緊張させることで「のど」の奥に何かがつまっているような感覚を生み出すと言われています。
そのため、急な心的外傷経験などでも喉の違和感を感じるようになります。
昨年末にお見えになった50代の女性の例
普段温厚で元々当院をご利用になっていた方が、昨年の暮れに「のどのつまる感覚」を訴えて来院されました。
きっかけをうかがうと、特にないといいます。
耳鼻咽喉科では「咽喉頭異常感症」と診断され、特に器質的な問題はないということから安心して施術をさせていただきました。
施術中、急にご家族の話から2週間ほど前にあった出来事についてお話くださいました。
とても仲の良い家族でいらっしゃいますが、ご本人が疲れていた時に急なハプニングで怪我をしてしまった時にそばにいたご家族が大したことではないと思ってあまり心配をしてくれなかったことに、彼女はショックとともに「強い怒り」を感じたと言います。
もちろんその家族を愛していますから、自分でもなぜこんなに腹が立つのかわからなくて、今でも思い出すと怒りがこみ上げるということでした。
そのうち、施術をしていく中で気持ちの整理ができてきたようで、帰りには「まぁ仕方なかったのかな」というような言葉を聞くことができました。
その後、のどのつまる感覚はあまり気にならなくなり、先日お見えになった際には全くなくなっているということでした。
このような例ばかりではないと思いますが、参考にしていただければと思います。
東洋医学では梅核気
東洋医学では、のどのつまる感覚を「梅核気(ばいかくき)」または「咽中炙臠(いんちゅうしゃれん)」と言います。
これらはどのような状態を意味するかと言いますと、
「気が上にあがって咽喉を塞いでしまう」として、まさに「咽喉頭異常感症」であると考えられています。
「梅核気(ばいかくき)」とは咽喉部に異物がつまっているような感じがあり、痰を出そうとしても吐き出せない症状を意味し、そのつまっているようなものが梅干しの種のようであることからこのような名前がつけられているといいいます。
東洋医学においても、主に感情の乱れなどにより、五臓六腑の「肝」を中心に、気が上にあがったままになったり、「脾」のはたらきが低下することで痰が生じ、それがのどに停滞してしまうと考えます。
詳細に分類すると、長期にわたる自律神経などの乱れにより身体の潤いが低下していたり、全身の虚弱な状態が関与しているケースもありますが、本投稿では基本的なケースとして「肝」と「脾」を中心とした養生ベースの対処法を紹介していきたいと思います。
「肝」とは肝臓のはたらきを中心に、自律神経やホルモンバランスといった状態を意味するもので、「脾」は胃腸を中心とした消化器系のはたらきになります。
ストレッチとツボで症状をやわらげる方法
まずはじめにご紹介したいのが、くびの全面を伸ばすストレッチです。
のどにあたる部分も含めて気持ち良くのばしていきましょう。
少し指が鎖骨にかかるようにして胸の前に両手を重ね、押さえたまま顎を天井に着きだしていきます。この時、舌先は上あごにつけたままのばしていきましょう。
伸ばす時間は5秒から10秒程度を目安に、2回から3回繰り返すといいでしょう。
また、このストレッチとセットで、舌を突き出して動かすエクササイズもおススメです。
ストレスや不良姿勢で縮こまったのどまわりの筋肉を緩めていくのが目的です。
次はのどのつまる感覚をやわらげる効果が期待できるツボを2つご紹介します。
1つめは前腕にある「内関(ないかん)」というツボ。
こちらはのどのつまりはもちろん、吐き気や胸苦しさなどにも有効なツボです。
親指で少し強めに圧を加えましょう。
実際には内関は鍼の方が効果的だと私は考えていますので、内関よりやや肘側に向かってマッサージをすることで腕の張りや緊張を感じられると思いますので、そこをほぐしてあげることで心の緊張もほぐれていくのを感じられると思います。
次にご消化記するのが、消化器系のはたらきを整えてくれるツボ「豊隆(ほうりゅう)」です。
ツボの場所を厳密にとらえるよりも、だいたい脛の前にある筋肉の真ん中あたりで、もっとも盛り上がっているあたりの筋肉をほぐすことで十分効果が期待できます。
朝、痰が出やすい人にもおすすめのツボです!
親指を左右爪と詰めが向き合うようにして押すと、少し強い圧がかかりますよ!
爪が長い人は注意して行ってくださいね。
まとめ
最後までお読みいただきありがとうございました。
いかがでしたでしょうか?
現代ではこのような「のどのつまる感覚」を感じている人がもっと多いのではないかと私は考えています。
大切なのは何にでも言えることですが、まずは器質的な疾患がないかを除外することです。
しかし、それでも症状が改善しない例はありますし、実際私もそのような方を多数みさせていただきました。特に、このような方の中でご自分のストレス状態を認知していない方もいらっしゃいました。また、女性に多い(更年期などもあると言われています)とは言われていますが、私は偶然かもしれませんが40代、50代の男性でこのような症状が随伴している例を多くみてきています。多くが「主訴」ではなく、肩こりや腰痛などで来院されたついでに教えてくださるようなケースでした。
まずは「のどのつまる感覚」が生じるメカニズムをしっていただき、ツボやストレッチで心身をラクにしてあげることからはじめてみてください。
ご自分や身の回りの大切な方に、少しでもお役に立てれば幸いです。
ありがとうございました。
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ねぇねぇ、最近私の友達がね、のどがつまるような感じがあるっていうのよ。