昨日に引き続き、枕の話をさせていただきます。
ところで、ホテルにはこのような感じで枕がたくさん置いてありますよね?
これは「おもてなし」の1つなんだとか。
サイズや硬さの違う枕を複数置くことで、
その人にあった枕を選べるというわけです。
素晴らしいサービスですよね。
ベッドの上でテレビを見るとき背もたれにしたり、抱き枕にしたりと、たしかに便利です。
さて本題に入りましょう。
私が枕に関してアドバイスするのは主にご高齢の方と頚椎疾患をお持ちの方です。
高齢になると加齢から寝具や寝室の環境が睡眠の質に影響すると言われています。
つまり、若いうちは睡眠の問題がなくても、加齢によって問題が生じてくるのです。
加齢と言えば顕著にあらわれるのが姿勢であり、背骨の状態です。
ところでみなさんは円背(えんぱい)という言葉をご存じでしょうか?
円背とは背骨の中でも特に胸椎(きょうつい)という背中の部分が丸くなった状態ですが、高齢者に多く見られ老人性円背ともいわれます。円背は、胸椎または腰椎に圧迫骨折がみられる構築性(こうちくせい)と、骨折がみられない非構築性に分類されます。
円背がご高齢の方に多いことが、枕のアドバイスが必要になる理由の一つです。
とくに、非構築性円背の場合は仰向けになると背中の丸みがある程度軽減しますが、構築性の場合は骨折しているため仰向けになっても丸まったままのため、枕が低いと顎が上がってしまい気道を狭くしてしまったり、頚椎に対しても負荷が大きくなってしまいます。
このような方には枕を高めに調節することをおススメしています。
ただし、睡眠時にスムーズな寝返りを制限してはいけないため、あまり高すぎてもいけません。
山田朱織先生によると仰向けの頚椎傾斜角度の理想は15度前後とされていますが、下記文献では構築性円背のケースではやや傾斜角度が減少してしまう結果を挙げておられます。
山田朱織、山口泰成、勝呂徹:円背者における枕の高さ調節による睡眠・頚椎症状改善の評価、東日本整災会誌・18巻:466-471、2006
要は、枕を高くし過ぎても今度は寝返りがしづらくなってしまうわけです。
かといって枕の高さが足りないのも仰向けの姿勢では問題になってしまうというから困ったものですね。う~む、難しい匙加減です。
他に、頚椎症といった疾患をお持ちの方にも枕の高さを調節するようにアドバイスさせていただくことがあります。
ちなみに、タオルを重ねて調節するのもおススメですよ。
そもそもすでに疾患を患っている方々の多くが、
普通の高さの枕で仰向けに寝ると腕や肩に痛みが表れてしまうため、自ずと枕を高くされていることがほとんどです。
他にも、鼾(いびき)でお悩みの方や、腰痛、四十肩などの方にも枕をはじめ睡眠時の姿勢をアドバイスすることもあります。
少しでも痛みを緩和し、痛みが誘発されにくい状態をつくることが大切になります。
質のよい睡眠が妨げられてしまうと、日中の痛みや不調の悪化にも影響しかねませんからね。
最後に少しだけ寝違えについてお話をさせてください。
寝違えとは名前のごとく、寝てる間に筋を違えてしまったことですが、
日本整形外科学会では症状についてこのように説明しています。
眠っていて目が覚めたときに、首の後ろや首から肩にかけての痛みが出ることがあり、いわゆる「寝違え」と言います。首を動かすと痛みが出る時もありますし、痛みで首を動かせない時もあります。
「寝違え」|日本整形外科学会 症状・病気をしらべる (joa.or.jp)
しかし実際には
朝起きた時はそんなに痛くなかったけど、
シャワーを朝浴びていたら痛みが増したり、出勤途中に悪化する例などもあります。
ですから決して起床時すぐというケースばかりではないようですが、寝ている時の姿勢や枕にも原因がありそうですよね。
実は、東洋医学には奇穴(きけつ)という特別な効果が期待されるツボがあって
その中に「落枕(らくちん)」という名前のツボがあります。
落ちる枕!!
それってまさか⁉
↑この2行、なんか韻を踏んだような気がしました、気のせいでしょうか?
オチルマクラ、ソレテマサカ
あ、わたし大分疲れてる。。はやく投稿を終えなければ。。。
そう。そのまさかの寝違えに効果が期待できるのが
この「落枕」というツボなんです。
確かに高さのある枕から頭が落ちたら、不意打ちで筋違えを起こしそうですよね。
でもどうでしょう?
寝違えの原因は枕ばかりでしょうか?
私はどうしても、寝違えの原因が枕ばかりにあるとは思えません。
どちらかというと、
その日その時の体調や気象の変化など、さまざまな要因が関与しているのではないかと考えています。
また折を見て、こちらについても触れていきますね!
今日はこの辺で。