巻き肩・猫背、気にしすぎてませんか?

昨今の健康ブームはとどまるところを知りません。

健康に対して意識が高い方も年々増えてきているように感じます。

とくに新型コロナウイルスのパンデミックにより、アプリなどを使用して運動する人が世界的に増えているようです。

そんな中、以前から気になっている世の中の健康常識になりつつある「猫背」「巻き肩」について、今回は自論を展開していきたいと思います。

猫背=諸悪の根源説は本当か?

メディアやSNSでさまざまな情報があふれている今、いつでも自分の知りたい情報を得られる時代です。

「猫背が肩こりの原因である」とメディアで大々的に紹介されれば、翌日から姿勢を意識する人が増えるのも不思議ではありません。

さて、そもそものところ、なぜ猫背がよくないのでしょうか?

解剖生理学や生体力学の観点からみると、本来なら自然な背骨のカーブの上に頭が乗っていれば無駄に筋肉が緊張したりエネルギーを浪費する必要がありません。

しかし、猫背の姿勢で頭が前方に位置してしまうヘッドフォワードと言います)と、5キロにも相当する重さの頭をくびの後ろや肩の筋肉で常に支えなければいけなくなってしまう状態になってしまうのです。

イラスト:satoshi nakamura

つまり無駄に筋疲労が生じるため、くび肩こりの原因となってしまうわけです。

さらに、ひどい猫背は肩を内に巻いてしまい、姿勢全体としても内臓を圧迫することになります。

おまけに視野が狭くなり呼吸はもとより気持ちまで影響しかねません。

と、このように猫背について考えるといいところがみつかりませんよね。

そうすると、猫背はやっぱり健康にとってよくない姿勢である、という結論になります。

巻き肩ばかり気にしても意味がない

「私の肩、巻いてるじゃないですか」

「かなり巻き肩ですよね、私の右肩。ひどいですよね?」

多くの方が猫背以上に気にしているのが‘巻き肩’です。

専門家に指摘されたり、ご自分で鏡をみて気になっているという相談がよくあります。

もちろん顕著な巻き肩の状態で運動をはじめて怪我をしてしまう例もあるので、意識することは大切ですが、よほど顕著な巻き肩でなければそこまで気にする必要はありません

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一方で、一見巻き肩のようだけれども、片方の肩が極端に外に離れているケースは要注意です。

要注意と言っておきながら、この状態はご自分でチェックするのが難しい上に、このような肩(正確には肩甲骨のポジション)の状態が表れている時はすでに何らか肩の痛みや問題が生じているケースが多くみられます。

要はこのような状態になる前に姿勢を改善していくことが大切と言えるでしょう。

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‘姿勢は連動している’ということに気づこう

よくセミナーでやっていただく動きを

試しにやってみましょう

まずはじめに、思いきり左右の肩を内に巻き込んでみましょう。

その状態で深い呼吸をしてみると、どうでしょうか?

息が吸いにくいことに気づくかもしれません。

今度はその状態のまま上を向いてみましょう。

もしかしたら、上も向きづらいかもしれませんよね。

次に、肩の力をぬいて、胸を開いてみましょう。

その姿勢で深い呼吸をすると、さっきより呼吸がしやすく感じませんか?

上を向いても、さっきと違う景色が見えるでしょう。

たったコレだけのことではありますが、私たちの身体すべてが連鎖、連動していることを感じられたと思います。

ですから、巻き肩だけを意識していても仕方ないこともありますし

トレーニングすることが先決ではありますが、猫背になってしまう原因を生活習慣や身体の状態からみつけていくことも大切になります。

肩を後ろに引いても巻き肩はなかなか直るものではありませんし、姿勢を一時的にぴんと正したところで猫背はそのままかもしれません。

そもそも、せっかくトレーニングしていても、ひどい座り方をしていたら元も子もありませんよね。

イラスト:satoshi nakamura

それから、これは極論ではありますが、

姿勢なんか気にしなくたって気持ちよく前向きに生きている人は、ちょっとくらい姿勢が悪くたって心身共に健康であり続けるかもしれないなぁなんて思うこともあります。

映画やドラマをみていても、かっこいい俳優さんに限って、すごく猫背が際立っていたりします(笑)。

でもそれはきっと役柄で感情や性格を演じているからそうなっているのでしょうね。

姿勢は姿(すがた)の勢(いきおい)と書きますから、身体の状態はもとより、心の状態まで実によくあらわれるのが姿勢です。

それを演技として表現する役者さんて、やっぱりすごいですよね。

さて、今回は姿勢の中でもよく相談される「猫背」「巻き肩」についてお話させていただきました。

背中だけ、肩だけ、を意識しすぎるよりも、全身のつながりや、ご自分のライフスタイルが姿勢にあらわれる、ということをお伝えできていたら幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました。