初めて書籍を出版させていただいてからあと数か月で8年になります。
初著書は「老け腸メンテナンス」でした。
実はこの本、はじめから重版はしないというお話でした。
きっかけは、とある編集者さんにお声がけいただいたことです。
2012年後半頃から私は書籍の出版を考えるようになっていました。
それまで本を書きたいなんて微塵にも思ったことがないのに
9年間意識がなかった病床の父が急に生気がなくなったのを感じた日から、
だんだんと彼から教わったことを世に出したいと思うようになったのです。
しかしそんなに簡単に商業出版はできません。(自費出版ならまた異なります)
有難いことにクライアントからやり手編集者さんをご紹介いただきましたが、相手にはしてもらえませんでした。
これは仕方のないことだと今ならわかります。
だって奇抜なアイデアもない無名の鍼灸師にやり手編集者が取り合っている時間なんてありません。
ただ残念だったのは、はっきり断ってくれればいいもののあやふやなまま数か月が経ち、さんざん振り回された感がありました。
それでもあきらめきれず、しばらく悶々とした日が続いていたころ
ある日、大切なクライアントが他界された知らせを受けました。
生まれたばかりの子と愛する旦那さんを残して。
この世を去った彼女とご遺族の気持ちを考えると胸が張り裂けそうで
自分の悩みなんてどうでもよくなりました。
告別式の翌々日、私は施術ベッドの上で天井を見上げていると
なんだか自分の心がすっと軽くなるような感覚を覚えました。
「ま、書籍は今でなくてもいっか。またチャンスが来たらがんばってみようかな。」
そんな清々しい気持ちになれたのです。
すると不思議なことにそれから30分と経たずに1本の電話が鳴りました。
「先生、本を書いてみる気はありませんか?」
驚きました。
もちろん喜んでお引き受けしました。
私を選んでくれたことが嬉しかったし
父から教わった東洋医学を記すことができる
そのチャンスを与えていただいたことが有難かった。
その後、2013年11月に父が他界しました。
初めて書籍を出版してちょうど3か月後のことでした。
今でも拙著「老け腸メンテナンス」は東洋医学(中医学)の入門書として思い出の一冊です。
いつかどこかの出版社さんがリメイクしてくれないかな・・・(笑)。
長い思い出話になってしまいましたが
最後までお読みいただきありがとうございました。