昨日に引き続き、肩こりの不思議についてお話させていただきます。
結局のところ、肩こりは右と左、どちらが多いのでしょうか?
期待させておきながら申し訳ないのですが
残念ながら、私も正解を知りません。
しかしながらいくつかの文献から、肩こりには左右差があることが確認されています。
1つ例を挙げると、長谷部らの研究「性別・年代別にみた肩こりの特性」によれば、男女860名の質問紙調査から肩こりを最も自覚する部位としては男女ともに右側の僧帽筋上部線維が有意に多かったと報告がみられます。
僧帽筋といえば肩こり筋肉の代表格です。
男女ともに右側が優位に多かった
もちろんこの文献が全てをあきらかにしているわけではありません。
しかし、この調査結果が「自覚症状における肩こりの部位」であることはとても意味のあることだと思っています。
なぜなら、やはり肩こりは主観的なものであり、症状であるからです。
今後期待したいこととしては、なぜ右側の肩こりが多かったのかを検討・検証していくことでしょうか。それがあきらかになれば、肩こりの原因や対処法を知ることができます。
とはいえ、肩こりの原因は実にさまざまです。
利き腕を使いすぎて肩が凝る人もいれば、利き腕じゃない肩が凝ることもあります。
重い荷物を肩にかけていることで肩が凝る人がいれば、反対の肩が凝る人もいるでしょう。
過去にセミナーなどで「肩こりの原因は何だと思いますか?」と質問すると
最も多かった回答は、「姿勢による」というものでした。
確かにスマホの使い過ぎやデスクワークの不良姿勢が肩こりの原因として大きなウェイトを占めると思います。
昨日も一日中デスクワークをしているクライアントが、肘掛けを新調したところ劇的に右側の肩こりが減ったというお話をしてくださいました。
姿勢とともに普段の身体の使い方、悪癖は要注意ですよね。
長尾らの研究「肩こりのアンケート調査と筋硬度との相関」(質問紙調査)によると、肩こりの原因についての回答146件中、1位が35件で運動不足、2位が同数の20件で仕事のストレスと疲労であったと報告されています。
他にも、精神的なストレス、睡眠時の姿勢、寒冷などの回答がみられたようです。
肩こりの左右差をつくる原因として、普段の姿勢や悪癖、間違った身体の使い方、睡眠時の姿勢などが影響していることは想像に難しくありません。
もっと言えば、足や骨盤の状態によってアライメント(骨や関節の配列)の異常から上半身に連鎖することで身体の歪み、すなわち肩こりの左右差を生むこともあります。
このようなケースでは肩にアプローチしてもなかなか改善しないかもしれませんね。
さらにもう一つ忘れてはいけないのが内臓の状態です。(もっとありますが特に大事なこととして)
ご存じの方も多いとは思いますが、内臓の疾患があることで肩こりや痛みを感じることがあります。
たとえそれが器質的な疾患でなく機能的なものだとしても。
このようなことは古くから内臓体性反射(自律神経反射)によるものとして、
胃や心臓の問題があると左肩こり、肝臓や胆嚢などに問題があると右肩こりとしてあらわれることが知られています。
もちろん肩だけに表れるということはありませんし、器質的な疾患に限った話ではありません
肝臓が疲れていると、右のくびや肩にコリや痛みとして症状があらわれることは日常によくみられることです。たとえお酒を飲まなくても、肝臓はストレスや過労で疲れてしまうことがあります。
最後にまとめると、
肩こりは右にも左にも表れる
ということです。
ただし、その原因は人それぞれ。
ご本人の訴えはもちろん、お身体の声にも耳を傾けながら、
私たちセラピストはクライアントのお身体にアプローチしていけるといいのかなと思っています。
まだまだ肩こりの全貌には程遠いので、いつかまた気が向いたら投稿していきますね!
ちゃんと勉強したい方は一緒に学びましょう。ウエルカムです!